タブレットやスマホアプリなど、デジタル教材は今後AIとともにどんどん進化し、ますます使い勝手が良くなっていくでしょう。
そのデジタル教材、使っている学習塾も多いです。
デメリットもあります。
- 記憶に残りにくい
- コストが高い
メリットは各教材の販売会社や塾でたくさん書かれていますので、ここではあえてデメリットに注目しました。
記憶に残りにくい
デジタル教材は画面を目で追うという「視覚」に頼る勉強です。
手書きはそれに加えて「書く」という別感覚を同時に使うので記憶に残りやすいようです。
これは、例えば単語や文章を「見る」だけではなく、「声に出しながら」「書いた」方が覚えやすいことに似ています。
俳優さんがセリフを覚えるのに、歩きながら声を出して読んだり、身振り手振りを付けたりするそうですが、そのほうが記憶に効果があるようです。
「手書きの効果」の研究が、ネット記事に紹介されていました。
パソコンを使っていた学生は24時間後には記録した内容を忘れてしまうことが多かった。(中略)対照的に、手書きでノートを取った学生は講義内容を長く記憶でき、1週間後でも講義で示された概要をよく覚えていた。専門家らは、書くというプロセスがより深く情報を記憶に焼き付けると指摘する。
>>THE WALL STREET JOUNAL「あなどれない手書きの学習効果」
コストが高い
タブレットはまだまだ高いですよね。
とくに専用のデジタル教材がインストールされているものはなおさらです。
もちろん料金には膨大な「開発費」「使用料」が含まれています。
保護者さんの気持ちとしては「それでも成績が上がるなら」と、多少無理をしてでも購入される方もいらっしゃると思います。
勉強嫌いな子が「取り組みやすい」という点では有効ですが、費用対効果を考えるとどうなのでしょうか。
別の研究では、成績の高い子と低い子に、「タブレット教材」と「冊子教材」を与えると、成績の高い子ほど「冊子教材」を選び、低い子ほど「タブレット教材」を選んだというデータがあります。
(だいぶ前に見た記事なので、リンク先を見つけられませんでした・・・)
「道具」を選ぶ、その前に
よい「道具」を買い与えるその前に、お子さんにとって今は何が不足しているのかを考える必要があります。
「興味が足りていない」のなら、「モチベーション」「目的意識の向上」のためのコーチングが必要です。
「やっているけど成果が上がらない」のなら、やり方のアドバイスが必要です。
ただ私が岩見沢で見てきた生徒さんは、「量」がまったく足りていないために「学習内容が定着できていない」子が圧倒的に多いです。
そのあたりの判断は、やはりデジタル教材やAIではまだ難しいのではないでしょうか。
AIで「苦手単元」をどこまで発見できるか
デジタル教材はAIで個人別に苦手単元を探しだし、抽出して練習を繰り返せるようになっているものが多いです。
しかし一方で、「誤入力」も「苦手」と判断されますし、選択問題では「どのように考えてそれを選んだか」までAIが割り出すことは困難です。
深い理解をしていなくても、たまたま「正解」してしまうと「理解できている」とAIは判断してしまいます。
「正解だけど、こういう考え方・解き方もあるよ」
「ノートの書き方だけど、こうしたほうがミスが少なくなるよ」
などのアドバイスは生徒の答案を見てみないとできませんし、これにも「マンパワー」が必要です。
「ゲーム性」でモチベーションが上がる?
教材など「道具」も重要ですが、それ以上に「モチベーション」をどう上げるかが大切です。
どのように目的意識を子どもに持ってもらい、主体性をもって勉強してもらうか。
AIにそこまでできる未来がやってくるかはわかりませんが、今はまだ「マンパワー」によるコーチングが必要です。
AIに褒められるより、親や先生に褒められる方が子どもたちはうれしいですよね。
モチベーションをあげる工夫として、デジタル教材には「ゲーミフィケーション」が利用されることが多いです。
これは、「ポイントがたまっていく」「順位がつく」「利用者間で交流ができる」などゲーム性を取り入れ、やる気をあげていく手法です。
勉強嫌いな子が「ゲーム性」をきっかけに、今より勉強に取り組むようになることが期待できます。
一方で、学ぶことよりもむしろ「ゲーム性」に意識がいき、目的がそちらにばかりいってしまうことがあります。
通信教材で「テストを提出したらポイントがたまり、プレゼントがもらえる!」と、問題を解くことより提出(プレゼント)にばかり注意がいくのに似ています。
今後の進化に期待大
ここまでデジタル教材の批判を書いてきましたが、今後はコストも下がり精度も高まっていくはずです。
テジタルの良いところは、記憶の定着ができた後にざっと情報確認できることです。
処理量が圧倒的に多く、手軽で便利ですよね。
また、場所を選ばず学べることも利点です。
近くに塾がない・送迎が困難という事情にも対応できます。
また海外では、発展途上国の教育の向上にも貢献しています。
そして英会話の学習では、スマホのアプリが強みを発揮します。
ニーズも多いので、アプリの料金もどんどん下がっています。
電子書籍と紙の本とがそうであるように、デジタル教材と紙の教材も「メリット」「デメリット」を知ったうえで、うまく使い分けたいですね!