人は、「本当に必要だ」と感じない限り、なかなか行動に移すことができません。
もちろん、「必要だと感じること」と「実際に行動すること」は別問題です。
頭ではわかっていても、すぐに動けないこともよくあります。
それでも、行動するための前提として「必要だと感じること」は欠かせません。
「必要だ」と感じたときに、人は行動できる
何かを始めるとき、大きな原動力になるのが「これは自分に必要だ」と思えることです。
逆に言えば、それを感じない限り、どんなに周囲が言っても人は動きません。
歯医者で学んだ“痛み”が、習慣を変えた
私はもともとナマケモノな子どもで、よく歯を磨かずに寝てしまっていました。
当然、虫歯になります。
けれど歯医者さんが怖くて、痛みを我慢し、親にも隠していました。
しかし、ついに我慢の限界を迎え、歯医者さんに行くことに。
案内されたのは、一番奥のカーテン付き診察台。いわば“特等席”です。
キュイーンという機械音とともに、歯科助手さんに押さえつけられて治療が始まりました。
家に帰っても泣き止まず、親に「うるさい!」と怒られて部屋に閉じ込められたのを覚えています。
あのとき、子どもながらに心に決めました。
「これからは絶対に寝る前に歯を磨こう」
この出来事が、私の生活習慣を変えました。
小学校に上がる前の話ですが、それ以来どんなに眠くても、歯を磨いてから寝ています。
それ以来、一度も虫歯になったことはありません。
“まずい”という気持ちがチャンス
前置きが長くなりましたが、勉強も同じです。
もしお子さんが「テストの点数がひどかった」とショックを受けているなら、実はそれが大きなチャンスです。
「このままじゃまずい…」と心から思っているとき、人は変わる準備ができています。
塾は「通わされる場所」ではなく「通いたい場所」に
勉強の対策として、塾を利用するのもひとつの方法です。
ただし、大切なのは「本人が必要だと感じているかどうか」です。
親に言われて渋々通う塾は、「やらされている感」が強くなり、成果が出にくくなります。
「成績を上げたい。だから塾に通いたい」
お子さんがそう思えることが理想です。
親ができるのは、選択肢をそっと示すこと
お子さんが「まずい」と感じたときに、親ができるのは“サッと選択肢を示す”こと。
そして最終的には、本人に決めてもらうことが大切です。
「このままではまずい」
「だから、自分はどうするべきか?」
このプロセスをお子さん自身が踏むことで、行動が自分事になります。
痛みの体験が、子どもを変える原動力になる
行動を変えるきっかけは、たいてい「痛み」や「後悔」といったネガティブな体験です。
けれど、それは決して悪いことではありません。
「痛みを知ること」で、人は本気になれます。
ぜひ、そのタイミングを見逃さず、そっと背中を押してあげてください。