「もっとがんばる」の落とし穴

具体的に「書き出すこと」

岩見沢指導会では、定期テスト前には「目標設定」をし、テスト後には「テスト反省」をします。

目標設定では、テストの目標得点だけではなく、これからテスト日までの2週間で科目ごとに「何を使って」「どのような勉強をする」かを具体的に書き出してもらいます。

そして書き出したシートは、宿題をやるたびに目にするよう塾で使うバインダーのトップページに挟んでもらいます。

テスト後には同じシートに「反省」のコメントを書いてもらいます。

テストの答案用紙を見ながら具体的に「どういった勉強をしておけばよかったか」または「こういう勉強をしたからうまくいった」という内容を本人に考えてもらい、具体的に記入してもらいます。

目的は、

①テスト勉強の振り返り

②次回の定期テスト前にもう一度目を通してもらうことで、過去の失敗や成功体験を活かしてもらうこと

です。

ここでたいせつなのは「具体的」に書くこと。

しかし、ついつい「もっとがんばる」「一生懸命やる」など精神論を書いてしまう子もいます。

言語化できないことは行動にできない

自分の言葉にして書き出せないことは、行動にも移せません。

それに「がんばる」ことには限界があります。

子どもたちにはテスト前の「行動」を振り返ってもらい、「何が足りなかったか」を考えてもらいます。

例えば「学校ワークを早めに終わらせる」「英単語の書き取り練習だけではなく、暗記できたかの自己確認をする」など具体的な行動内容を書いてもらうようにしています。

精神論で乗り越えることに慣れてしまった社会

しかしこの「もっとがんばる」的な「精神論」、子どもだけではなくわたしたち大人にもずいぶん昔から広まっている気がします。

日本は戦時中、戦地の物資が不足する中「気合」「蛮勇」でその場を乗り切るという「何の具体性もない作戦」によって、たくさんの兵士が命を落としました。

戦後の日本社会では、労働生産性など後回しでとにかく「長時間働く」ことで世界第二の経済大国になりました。

しかし国民一人当たりの所得は2019年で世界27位。

(IMF World Economic Outlook Database 2022)

日本人はよく働くといわれていますが、「がんばること」がきちんと報われていない気がします。

努力が空回りしていれば、次へのやる気につながりません。

そうならないためにも、「がんばる」だけではなく、「具体的に何をするのか」「どう問題解決していくのか」を子どもたちに考えてもらい、行動につながるよう指導しています。

テストの得点が下がったときの「もっと頑張れ」という声がけは効果なし。

私たちが上司に「もっと頑張れ」と言われても(もともと頑張ってますけど)としか思えないのに似ていますよね。

精神論だけではダメです。

努力が報われる社会とは、みんながより具体的な行動を考え、それを積み重ねた先にあるのではないでしょうか。

シェアする