塾の選び方マニュアル【個別指導編】

札幌・函館・岩見沢などの学習塾でかれこれ20年以上、講師をやってきました。

自塾・他塾も併せて、うまくいった教室も、失敗した教室も見てきました。

そんな私から、

いろんな塾があって、選べない!
塾選びのポイントってないの?

と迷っているみなさんへ、「塾のココを見るべき」というコツをお伝えします。

塾の主流は個別指導タイプ

今や大手集団指導塾も「個別指導」部門を立ち上げ、すっかり塾業界の主流となった個別指導。

やはり生徒さん一人一人の苦手単元・科目に合わせて指導してくれるのが魅力のようです。

時間割も個人別に設定できる塾が多いので、送迎の都合がつきやすく部活との両立もしやすいようです。

ただし個別指導塾といっても千差万別。

1対1(1人の先生が1人の生徒について指導)の塾もあれば、1対10(1人の先生が10人の生徒について指導)で「個別指導」を語る塾もあります。

「個別指導塾」の定義ははっきりしていませんが、おそらく「生徒1人ひとりが別々の内容・科目を受講」「先生から解説を受けるときは、となりについて個人対応する形態」を一般に個別指導塾と呼ぶようです。

それに対し、黒板(またはホワイトボード)を使った講義を、複数生徒が同時に受ける形態を一斉指導塾(集団指導塾)と呼びます。

個別指導の「対人数」が守られていないケースも

個別指導塾を選ぶ際のポイントは、何と言っても「対人数」です。

体験授業や入塾時には「1対4まで」と説明を受けていたのに、実際に通うと日によって「1対5」「1対6」になっているなど、保護者の知らないところでルールを無視している塾もあります。

理由は以下のように想像できます。

  • 受験期で入塾生が多くなり先生が足りていない
  • 先生都合で急に欠席し、その埋め合わせを別の先生がやっている
  • 人件費の削減

入塾を決める前に、すでにその塾の通う友人・知人に聞いたり体験授業と通じて直接確認したりして「対人数の実態」を必ずチェックしましょう。

先生がよく辞める塾は危険

とくに担当の先生や教室長がよく変わる塾は要注意です。

年度替わりに教室長が変更されるのも心配ですが、一番危険なのは年度途中で教室長や担当講師がいなくなることです(理由は「体調不良」などと伝えられるのがほとんど)。

講師が辞めるというのは、その教室が講師のモチベーションを下げる何らかの問題を抱えている可能性が高いです。

そのような教室では、どれだけ熱心に生徒のことを考えてくれているか怪しいです。

1対10でも個別指導塾?

「個別指導塾」といえるのか疑問ですが、先生1人で同時に10人の指導を担当する塾も存在します。

以前このタイプの塾に通っていた保護者さんから話を聞いたことがあるのですが、いざ通塾してみると、先生が全然回ってこなく質問ができない日が多かったそうです。

単純に、1対10の個別指導塾なら質問応対は「授業時間の10分の1」に限られます。

90分の授業なら、最高でもたった9分。

それ以上の質問ができているとしたら、質問できずに放ったらかしにされている生徒さんが他にいることになります。

こういう塾の方針としては、

  • 学習スペースを提供するだけで学力は伸びる(だから指導しなくてもいい)
  • 勉強を教えるよりも、面談などを通して動機づけをする(だから先生は少なくていい)

こういった点を重視しているのだと思います。

一定の生徒さん(目標がはっきりしていて主体的に勉強ができる高校生など)には成果が出るでしょうし、授業料が安く済むので保護者も助かります。

しかし、1対10ならそれは「ほぼ自習」です。

月謝定額で通い放題をアピールしている塾もありますが、通い放題ならなおさら生徒さんが毎日たくさんやってきます。

人件費を減らすことで安価な月謝にしていますから、配置される先生が少ないのが常態化します。

これでは生徒さんの質問時間がわずかになるのは当然です。

一方でほとんどの塾は、授業時間とは別に「自習席(自習室)」を無料サービスとしてやっています。

それならば「ほぼ自習」の教室に通うよりも、普段はしっかり「教えてくれる時間をとってくれる塾」に通いながら、同じ教室で無料サービスの「自習席」を利用した方が効率的ではないでしょうか。

「1対1」「1対2」の個別指導はどう?

「1対1」「1対2」の個別指導塾は、生徒さん1人に使われる質問応対は圧倒的に多いわけですから、一見「最高の学習形態」に思えます。

ほぼ家庭教師スタイルで、先生を独占して授業中質問をし放題です。

しかしデメリットもあります。

  • 授業料が高い
  • 教室が都市部にしかない
  • 先生は大学生アルバイトがほとんどで、当たりハズレが大きい
  • 担当の先生がよく変更になる(サークルや試験・就職など大学生の都合で)
  • 欠席時の振替授業が有料

もし利用するならせっかく「先生独占」なわけですから、教室に行く前に自分で質問したい問題をはっきりさせ、質問しっぱなしの授業にしたいところです。

しかし学習効率を考えれば、「解説」を受けた後の「追加練習」は授業中その場である程度終わらせ、定着を図りたいものです。

また理解を確認するための「小テスト」実施も、授業時間中には欠かせません。

定着演習や小テストの時間をとっている間は、先生の待ち時間となります。

1対2なら、別の生徒さんの指導をしていますが、私の経験上それでも先生の待ち時間は発生します。

先生の待ち時間にもコスト(先生の人件費)がかかっていますから、その分授業料が無駄になると言えます。

1対1(または1対2)の授業スタイルを求める生徒さんは、大半が「一斉指導ではついていけない」「もっとじっくり苦手単元をしぼってやりたい」など、苦手克服を目標にしている子が多いと思います。

そういう子であればなおさら解説を受け続けるのに集中力がもたなかったり、解説を受けてから時間を置かずその場で練習し、すぐ定着を図る必要があったりします。

授業中の「解説」と「定着演習」の時間バランスがお子さんの学力状況にマッチしているか、事前に生徒さんと話し合ったうえで体験授業を受けてみてください。

「1対4」の個別指導が最適である理由

ここまで書いてきましたが、すべて私が今まで勤務してきた塾や同業者・保護者から集めた情報がもとになっています。

そして出た結論が「1対4の個別指導塾がもっとも多くの生徒さんが成果を感じられる授業スタイルである」ということです。

  • 1対10では質問できない
  • 1対1(または1対2)では授業料がもったいない

だったら「1対4」で「いいとこ取りができる」という理屈です。

ほどよく解説を受け、ほどよくその場での練習ができる。

そして、ほどよい授業料。

単純なことではありますが、20年近くこの仕事をしてきたうえでの結論です。

もちろん、生徒さんごとに「合う」「合わない」があるものです。

先生との相性や教室の雰囲気、教室長のキャラクターなどいくつもの要因が生徒さんの「やる気」に影響をあたえます。

塾に問い合わせる場合は必ず「体験授業」から

体験授業は、これまで書いてきたような目的をもって塾を「品定め」しましょう。

「友達が通っているから」「進学実績が高いから」「有名塾だから」ではいけません。

よその子には合う塾であっても、わが子には合わない可能性は十分あります。

なので教室に行ってその場で入塾を即決するのはNGです。

体験授業後にお子さんと家でじっくり話をし、「この塾で成績を上げていくイメージが持てるか」を聞いてあげてください。

塾に通うのはお子さんです。

親御さんが決めるのではなく、「この塾なら頑張れる」とお子さん自身が言える塾。

見つかることを願っています!

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